大きな耳のカヌーと、大きな目のフェリーが、おはなしをしています。 今日はふたりでお出かけのようで、バス停でバスがくるのをまっています。 カヌー「今日はお天気がよくなって、よかったね。」 フェリー「雨の日に出かけるのは、すこしたいへんだからね…
さるのきょうだいが、ひとつの木のまわりをぐるぐるまわって、おいかけっこをしています。 おいかけているのがおにいさんざる、にげているのがおとうとざるです。 おにいさんざるの、おいかけるはやさと、おとうとざるの、にげるはやさは、まったくおなじは…
光の精と、闇の精が、めずらしく話をしています。 闇の精は、光の精にいいました。 「光がいくらあっても、ひとたび光がなくなれば、そこはいつでも闇になる。」 「それはたしかに、そうだ。」 そう光の精はこたえました。 闇の精は、こうつづけました。 「…
ビクトルが、ひとりでとなり町へ出かけたときのことです。 夕方がくるまえ、ビクトルは広場をよこぎって歩くところでした。 広場はとてもしずかで、人はほとんどいませんでした。 荷ぐるまでくだものを売る人。 ビクトルとは反対のほうから広場をよこぎる人…
私の記憶が正しいなら、最後にお会いしたのは、カフェ・エルゴでお話したときでしょうか。 あれからずいぶん経ったように思いますが、もしそうなら、お久しぶりですね。 お元気でいらっしゃるなら、何よりのことです。 さて、あなたがこの手紙を読んでいる…
《つづき》 ケヤキの木は何かを見つけたようです。 「どうしたんだい?」 友だちのムクドリは、はねをはばたかせながら聞きました。 すると、ケヤキの木はこたえました。 「さっきは、きみたちのたいぐんを見て、雨雲かと思ったんだ。」 「へえ、ぼくたち、…
《つづき》 ケヤキの木にとって、朝がこんなにまちどおしいのは、はじめてのことでした。 のぼってくる太陽が見えたとき、ひゅうっとすずしい風がふきぬけて、葉っぱをさらさらとならしました。 まだ、ムクドリはやってきません。 「なかまたちをつれてきて…
ひろいひろい草原に、おおきなケヤキの木がありました。 ケヤキの木には、ムクドリの友だちがいました。 ムクドリはいつも、ケヤキの木の枝にとまりにやってきます。 ある日、ケヤキの木はムクドリに言いました。 「ねえ、いつもふしぎに思うんだけどさ。ど…
《つづき》 コンピューターの画面に出ている「これ」は、「『これ』じしんをさす『これ』」だ。「これ」じしんをさす「これ」… それを指を使ってできないだろうか。 こうなったら、どうしても考えたくなってきたぞ。 さっきみたいに、指を二本使うと、「『…
《つづき》 「これ」という返事に対して、「どういう意味ですか?」と聞いたら、「これ」と答えられてしまった。 これまた、どういう意味だろう。 もう一度、「どういう意味ですか?」と聞いても、また「これ」という返事だろうか。 ん?待てよ。 「これ」に…
ある日、ぼくはいつものように、スーパーマーケットで買い物をしていた。 おかし売り場へ行くと、小さな男の子がお母さんに、 「これほしい」 と言っていた。 お母さんは、「これってどれ?」と言った。 男の子は何も言わずに、赤い箱のチョコレートを、人さ…
わたしたちは、海のなかにすんでいます。 「ママ、どうしてふねは、いつもおもてのほうだけが見えて、うらのほうは見えないの?」 そう子どもがきくので、わたしはうえを見あげました。 1そうのふねが、日の光をさえぎりながら、わたしたちのうえのほうを…
お昼の太陽の光のかげ どしゃぶりの雨のかげ あらしの雨のかげ 夕方の太陽の光のかげ カラスがなく音のかげ がいとうの光のかげ ただいまのかげ
この世界には、「くべつ」というものがある。 ウサギはリスではない。 リスはウサギではない。 ウサギとリスのあいだには、「くべつ」がある。 水は空気ではない。 空気は水ではない。 水と空気のあいだには、「くべつ」がある。 「くべつ」はどこにだって…
ある日、1匹のみつばちが、私の鼻の穴にごそごそと入ってきた。 みつばちは、鼻のなかの空洞まで入ってきて、そこでしばらくじっと休んでいた。 こわい鳥も入ってこられないし、大きなクモも入ってこられないし、スズメバチも入ってこられない。 きっと、…
大きな耳のカヌーと、大きな目のフェリーが、おはなしをしています。 カヌー「きのうさ、古くなった木のイスを、きれいにふいて、青のペンキでぬったんだ。そしたら、ぴかぴかの青いイスになったよ。」 フェリー「へえ、それはいいね。」 カヌー「それで、…
猿「どうもありがとうごぜえます、桃太郎さん。むしゃむしゃむしゃむしゃ。はあ、おいしかったなあ、きびだんご。」 桃太郎「それはよかった。あれ?お猿さん、口の横にだんごの粉がついておるぞ。」 猿「冗談はやめてくださいな、桃太郎さん。」 桃太郎「冗…
またここだ。 ごつごつした石の床と壁、家具などはなく、いかにも頑丈そうな木のとびらが、一つだけある。 まるで中世のろうやの中だ。 とびらを開けることはできない。 鍵がかかっているのだ。 とびらをいくらたたいても、にぶい音がひびくだけである。 と…
ぼくにはしっぽがある。 長い長いしっぽだ。 でもぼくは人間だから、ほかの人間に「ぼくには長いしっぽがあるよ」と言うと、きまって、「それは本当の話じゃなくて、空想の話でしょ」と言われてしまう。 ぼくにとっては、本当におしりから長いしっぽがのび…
《つづき》 笑っていたおばあさんは、まじめな顔になって、僕にこう言った。 「わたしは、『このテーブルのうえでは、めったにないことが次々と起こる』と言った。これから先も、わたしの言ったとおりになるじゃろう。しかしそれはな、わたしに不思議な力が…
《つづき》 「え?このテーブルは『奇跡のテーブル』なんですよね?このテーブルに不思議な力があるから、カードをただてきとうにひいたのに、4枚ともエースだったんじゃないんですか?」 と、僕は思わずおばあさんに聞いた。 すると、おばあさんはこう答…
今日は、いつもの仲良し5人で遊園地に遊びに行った。 とても大きなジェットコースターがある遊園地だった。 ジェットコースターの前には、長い列ができていた。ならんでいるのはほとんど大人の人なのに、ぼくのほかの4人は、「のってみよう」と言いだした…
木がたくさんはえているところに、ひろい場所があります。 そこには、使われなくなった古い虹、大きなランプがついたプロペラ、ほかにもいろいろなものが置いてあります。 顔が2つあるガゼルがやってきて、 「ぼお、ぼお」 となきました。 すこしはなれたと…
大きな耳のカヌーと、大きな目のフェリーが、おはなしをしています。 フェリー「ビーバーっていう動物、知ってる?」 カヌー「うん、知ってるよ。知ってるけど…」 フェリー「知ってるけど?」 カヌー「知ってるけど、ビーバーの顔を思い出そうとすると、ラッ…
ある日、森の道を歩いていると、キツネが立っていました。 「やあ」 とキツネは言いました。 キツネが立っているそばには、大きくてりっぱな箱が置いてあります。 その大きな箱は、大きなフックでとじられていて、フックには、 「明日あけること」 と書いて…
《つづき》 「マカロニが3つくっついている真ん中に、穴があいてるよ!」 「それはそうだけど。どうしたの?」 「真ん中にあいてる穴は、マカロニの『うちがわ』の穴じゃなくて、マカロニの『そとがわ』にできた穴だよね。」 「まあ、たしかにマカロニの『…
《つづき》 「マカロニを『うちがわ』から食べて、しかも、『うちがわ』も『そとがわ』もいっぺんにかみきる食べかたかあ。どうすればいいのかなあ。」 女の子は考えながら、また眠りこんでしまいました。 すると、またじぶんがイモムシになっています。 イ…
マカロニが大好きな女の子がいました。 穴のあいたやわらかいマカロニを、上のまえばと下のまえばで、「ぷちっ」とかみきるのが大好きなのです。 3センチくらいのマカロニなら、10回くらい少しずつかじりながら、食べることができます。 「その食べかた…
大きな耳のカヌーと、大きな目のフェリーが、おはなしをしています。 フェリー「カヌーは、もし神様がいるとしたらどんなだと思う?」 カヌー「うーん、願いごとを聞いてくれるのが神様かな。」 フェリー「願いごとを聞いてくれて、しかも叶えてくれるの?」…
「無限のかなた」と呼ばれる場所があるとします。 無限のかなた。 名前くらいは聞いたことがありますよね? でも、私たちはそこへたどり着くことができません。 なぜなら、そこへたどり着くには無限の距離を旅しなければならないからです。 私たちには、無限…