そのバーには、
とても長い木のカウンターがある。
熟成の進んだものが飲みたければ、
カウンターの奥へ行くとよい。
長い時間をかけて、
木の香りのよくしみこんだ飲み物が、
カウンターの奥では楽しめる。
熟成のあまり進んでいないものが飲みたければ、
カウンターの手前のほうがよい。
できたての液体のフレッシュな味わいが、
カウンターの手前のほうでは楽しめる。
そして、カウンターの一番手前には、
青々としげった葉がある。
この葉が昼のあいだに太陽を受けて、
甘い液体をつくりだす。
たっぷりとつくられた甘い液体は、
木のなかを通って運ばれていく。
この液体の味と香りを求めて、
今夜もこのバーに、
いろんな客が集まってくる。