あるはれた日、
まちをあるいていると、見たことのない、
ちいさなおみせがありました。
それは、あたらしくできたばかりの、
くつやでした。
ぴかぴかのガラスのむこうに、
みどり、くろ、ちゃいろ、あかの、
ぴかぴかのかわぐつ。
おみせのなかにはいって、
もっとくつを見たくなりました。
おみせのドアをあけると、
「こんにちは」
と、おじいさんが、
つくえのむこうから、むかえてくれました。
「こんにちは」
と、こちらも、ぼうしをとって、
あいさつをしました。
おじいさんのつくえには、
つくりかけのくつがひとつ、おいてあります。
「このみせにあるくつは、ぜんぶわたしがつくっているんですよ」
と、おじいさんはおしえてくれました。
おみせのたなには、いろんなかたちの、
いろとりどりのかわぐつが、
きれいにならんでいます。
まるでくつが、ゆたかに実った、
たくさんのくだもののようです。
それを見ているうち、
どうしても一足、
ほしくなってきました。
くつをひとつひとつ、手にとって、
ようく見ました。
そして、ふかいあおいろをした、
つまさきのまるいくつに、
すっかり見とれてしまいました。
そのくつをもって、
おじいさんのつくえのところまでいき、
「あのう、このくつを、買いたいのですが」
と、はなしかけました。
《つづく》