気にいったくつをもっていき、
おじいさんに声をかけると、
おじいさんは、
「どうもありがとうございます」
と、わらっていいました。
おじいさんは、こういいました。
「わたしは、お客さまひとりひとりの足にあわせて、
ひとつずつ、くつをつくっています」
「それはすばらしいですね」
「お客さまのくつができあがるまで、
3しゅうかんほど、おまちいただくことになります。
それでもよろしいでしょうか?」
「もちろんです」
「どうもありがとうございます」
おじいさんはそういうと、
足の大きさをはかるどうぐをもってきて、
みぎ足の大きさ、それからひだり足の大きさを、
はかってくれました。
おじいさんのつくえのうしろには、
たくさんの木がたが、ぶどうのようにぶらさがっています。
おじいさんは、そのなかから、2つをえらんでもってきてくれました。
「この2つの木がたで、くつをつくってくださるのですね?」
そうきくと、おじいさんはこういいました。
「いいえ、こちらの木がたは、
くつができあがるまで、お客さまがお使いください。
そのかわり、わたしはお客さまの足を、おあずかりします。
お客さまの足にぴったりのくつを、おつくりしますので」
こんなことがあって、しばらくのあいだ、
木がたの足で、くらすことになりました。
くつのできあがるのが、たのしみです。
《おしまい》