ちいさな哲学のおはなし

清水将吾のブログ

ポストのたくさんある街

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この街に住む人々は、

手紙を書くのが大好きです。

 

毎日、たくさんの人が手紙を出すので、

街にはたくさんのポストがあります。

 

あるとき、

こんな意見を言った人がいました。

 

「ポストの背をもっと高くしよう。

そうすれば、どこにいても、

すぐにポストを見つけられる。」

 

そう、この街では、

公園へ行っても、カフェへ行っても、

手紙を書いている人が

あちらこちらにいます。

 

そんな人たちが、

さあ手紙を書き終えたというとき、

ポストの背が高ければ、

すぐに見つけて、

手紙を出せるではありませんか。

 

街の人々は、この意見に賛成しました。

そして、街のポストの背をぜんぶ、うんと高くしました。

 

ところが、人々は気づきました。

 

「ポストがすぐに見つかるのはよいけれども、

 手紙の入口に、手がとどかなくなってしまった。」

 

それでも、私にとっては便利になったのです。

家のそとへ出なくても、

窓から手紙を出せるようになりました。

 

アパートの4階に住んでいるからです。

 

おや、今日もまた来ました。

窓から手紙を出しておいてほしいという人です。

 

それでは、またお便りしますね。