石にはなにがつつまれているでしょう?:カヌーとフェリーのおはなし7
大きな耳のカヌーと、
大きな目のフェリーが、
おはなしをしています。
カヌー「じゃんけんってさ、チョキがハサミで、パーが紙で、グーが石でしょ?」
フェリー「そうだね。」
カヌー「パーがグーに勝つのは、どうして?」
フェリー「紙は石をつつめるからだよ。」
カヌー「つつめると勝ちなのか。ふむ、じゃあさ・・・」
カヌーはそういいながら、
なにももっていない右手を
フェリーに見せて、
その手をとじました。
カヌー「この手のなかには、なにがあるでしょう?」
フェリー「なんにもない。」
カヌー「ざんねん!ようく考えてみて。」
フェリー「手品かい?じつはコインがはいっているとか?」
カヌー「手品じゃないんだよなぁ。」
フェリー「うーん。さっぱりわからないや。まいった。こうさんだよ。」
カヌーは、とじていた手を、
ゆっくりとひろげました。
フェリー「やっぱりなんにもないじゃないか。」
カヌー「ほら、よくみて。グーのなかには、パーがありました。石のなかには、紙がつつまれていました。」