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ちいさな哲学のおはなし

清水将吾のブログ

ふしぎなくつやさん《1》

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あるはれた日、

まちをあるいていると、見たことのない、

ちいさなおみせがありました。

 

それは、あたらしくできたばかりの、

くつやでした。

 

ぴかぴかのガラスのむこうに、 

みどり、くろ、ちゃいろ、あかの、

ぴかぴかのかわぐつ。

 

おみせのなかにはいって、

もっとくつを見たくなりました。

 

おみせのドアをあけると、

「こんにちは」

と、おじいさんが、

つくえのむこうから、むかえてくれました。

「こんにちは」

と、こちらも、ぼうしをとって、

あいさつをしました。

 

おじいさんのつくえには、

つくりかけのくつがひとつ、おいてあります。

「このみせにあるくつは、ぜんぶわたしがつくっているんですよ」

と、おじいさんはおしえてくれました。

 

おみせのたなには、いろんなかたちの、

いろとりどりのかわぐつが、

きれいにならんでいます。

まるでくつが、ゆたかに実った、

たくさんのくだもののようです。

 

それを見ているうち、

どうしても一足、

ほしくなってきました。

 

くつをひとつひとつ、手にとって、

ようく見ました。

そして、ふかいあおいろをした、

つまさきのまるいくつに、

すっかり見とれてしまいました。

 

そのくつをもって、

おじいさんのつくえのところまでいき、

「あのう、このくつを、買いたいのですが」

と、はなしかけました。

 

《つづく》