ちいさな哲学のおはなし

清水将吾のブログ

二つの窓とパラソル

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私はいま、南の島にあそびにきている。

小屋の窓によりかかって、海をながめている。

 

窓からみえる海は、きらきらと光っている。

砂浜には、黄色いパラソルが一本、立てられている。

 

この窓の左のほうにも、もう一つ、べつの窓がある。

私は、左の窓のそばまで歩き、外をみた。

 

左の窓からみても、やはり海はきらきらと光っている。

砂浜には、黄色いパラソルが一本。

 

さっき、右の窓から、黄色いパラソルが一本みえた。

この左の窓からも、黄色いパラソルが一本みえる。

ということは、同時に両方の窓から外をみれば、黄色いパラソルが二本みえる…

 

…わけはない。

そんな冗談のようなことを思いながら、私は左の窓からはなれた。

そして、二つの窓から外をながめられるところまで、さがってみた。

 

これは!一体どうしたことだろう!

右の窓から、黄色いパラソルが一本みえる。

そして左の窓からも、黄色いパラソルが一本みえている。

冗談のつもりで思ったことが、現実の景色になっている!

 

私はあわてて右の窓へよっていき、外をみまわした。

黄色いパラソルは、たしかに一本しかない。

そこで、うしろへさがり、二つの窓から外をみた。

するとまたもや、両方の窓からパラソルがみえるではないか!

 

どうやらこれはまずいことになった。

屋根裏の配線が、おかしくなってしまったのだろうか。

床下を空気がとおる音に、異常はないようだが。

 

一体なにがどうなってしまったのだろう。