《つづき》
「マカロニが3つくっついている真ん中に、穴があいてるよ!」
「それはそうだけど。どうしたの?」
「真ん中にあいてる穴は、マカロニの『うちがわ』の穴じゃなくて、マカロニの『そとがわ』にできた穴だよね。」
「まあ、たしかにマカロニの『うちがわの穴』ではないわね。」
「マカロニの『そとがわの穴』なんて、変な穴。ねえ、食べてもいい?」
「しょうがない子ねえ。」
女の子が3つにくっついたマカロニをかじったとき、上のまえばと下のまえばは、3つのマカロニの「うちがわの穴」の中から、真ん中にできた「そとがわの穴」を「ぷちっ」とかみきりました。
「これで、マカロニを『うちがわ』からかじって、しかも穴もちゃんとかじれた!」
さて、こんなふうにはじまった一日がおわって、その日の夜、女の子はまたふしぎな夢を見ました。
自分がまたイモムシになっていて、ほそながい穴の中にはいっています。
「ここはなんの穴の中だろう?そとに顔をだして見てみよう。」
穴のそとに顔だけをだしてみると、じぶんのいる穴の横や上にも、べつのマカロニの穴があいているのが見えました。
「そっか。ここは3つのマカロニがくっついた真ん中にある、『そとがわの穴』の中なんだね。」
ところが、穴のそとのまわりをもっとよく見てみると、どうでしょう。
大きな穴は3つだけでなく、たーくさんあります。
じつは、マカロニの穴に見えたのは、ほんとうはハチの巣だったようです。
女の子はイモムシではなく、ハチのようちゅうになって、ハチの巣の穴の中にいたのです。
女の子は夢からさめました。
「ああ、また変な夢。それに、なんだかちょっとこわい夢だったなあ。マカロニの『そとがわの穴』の中にいると思ったら、ハチの巣の『うちがわの穴』の中にいるなんて。穴の中にいるだけだと、そこが『うちがわの穴』の中なのか『そとがわの穴』の中なのか、どっちなのかわからなくなっちゃうんだね。」
まどから見える空には、まだ星がひかっていました。
「わたしはうちゅうの中で生きていると思っているけど、ここは『うちがわ』の中なのかなあ。それとも、なにかとなにかがくっついてできた『そとがわ』の中なのかなあ。」
《おしまい!》