ちいさな哲学のおはなし

清水将吾のブログ

宇宙蓄音機

「蓄音機」というものを しっていますか 音をきろくした えんばんをのせると ラッパのかたちをしたところから 音がでるキカイです 「宇宙蓄音機」を しっていますか すべての星が 死をむかえると 宇宙はえいえんの闇に つつまれます そのとき いきものたちが…

あるバーへのご招待

そのバーには、 とても長い木のカウンターがある。 熟成の進んだものが飲みたければ、 カウンターの奥へ行くとよい。 長い時間をかけて、 木の香りのよくしみこんだ飲み物が、 カウンターの奥では楽しめる。 熟成のあまり進んでいないものが飲みたければ、 …

ベテルギウス

もうすでに死んでいるかもしれない ベテルギウスは もうじき破裂して 夜を明るくするかもしれないという 私が生きているあいだに その夜はくるだろうか その夜がくる前に 私が死んでしまったら 私の死はベテルギウスに どう見えるだろう

新年のごあいさつ

あけましておめでとうございます! 昨年の夏ごろから、 中編の哲学ファンタジーのようなものを 書きはじめました。 それでなかなかブログを更新できませんでしたが、 今年の春には書き終わると思います。 いろいろとお楽しみに! 今年もよろしくお願いします…

クリスタルの言い伝え

ある村に、キノコをうってくらしている男がいました。 男が、いつものように森でキノコをあつめていると、 落ち葉のうえに、なにか光るものを見つけました。 それはすきとおった石でした。 男はそれをひろって言いました。 「こんなにすきとおったガラスは見…

ふしぎなくつやさん《2》

気にいったくつをもっていき、 おじいさんに声をかけると、 おじいさんは、 「どうもありがとうございます」 と、わらっていいました。 おじいさんは、こういいました。 「わたしは、お客さまひとりひとりの足にあわせて、 ひとつずつ、くつをつくっています…

ふしぎなくつやさん《1》

あるはれた日、 まちをあるいていると、見たことのない、 ちいさなおみせがありました。 それは、あたらしくできたばかりの、 くつやでした。 ぴかぴかのガラスのむこうに、 みどり、くろ、ちゃいろ、あかの、 ぴかぴかのかわぐつ。 おみせのなかにはいって…

ぬいぐるみ裁判

「それでは、私から被告人に質問します。」 検察官は、こわい顔をしてそう言いました。 検察官の視線のさきにある、被告人の席には、うさぎのぬいぐるみが座っています。 「あなたは、子どもたちにおかしを高く売りつけるために、お店のまえに立っていたので…

トランペットの沈黙と、サクソフォンの沈黙

ある晴れた日、テラスハウスの玄関先の小さな庭で、 若いジャズバンドが演奏の練習をしていた。 サクソフォン、トランペット、ドラムス、そのほかの楽器。 隣のテラスハウスのドアから、 高名なサクソフォン奏者が出てきた。 頭をうなだれて、サクソフォンを…

ありがとうの手紙

あなたはいつも、私においしい料理を作ってくれる。 でも、私に食べさせてくれるだけで、自分では食べない。 私があなたの料理を食べようとすると、あなたはもういなくなっている。 一度でいいから、あなたといっしょに食べてみたいなあ。 いつもありがとう…

3つの5人ぐみ

まじめな5人ぐみは、 山へあそびにいきました。 まじめな5人は、 いっしょにちずをみて、 山のみちをあるき、 山のてっぺんまでたどりつきました。 5人はそこで、しきものを広げて、 おべんとうをたべました。 そして、またいっしょにちずをみながら、 …

南ではなにがみえたでしょう?

北の空をとぶタカは、 こんなものをみました。 北の空をとぶタカのいるところから、 まっすぐ東へとんでいき、 池のほとりでやすんでいた、 二羽のカモは、 こんなものをみました。 北の空をとぶタカが、 くちばしにくわえていたイモムシをうっかりおとして…

ピーター・パンとウェンディーは、こんな話をしたかもしれない

ウェンディーのお父さんとお母さんが出かけていった夜、ピーター・パンは、窓から子ども部屋へと入ってきました。 そして、ピーターは、ウェンディーにシンデレラの物語をおしえてもらい、うれしくなってしまいました。 それで、ウェンディーにもっとたくさ…

グランド・トラベラーズ《3》

《つづき》 その翌日、卒業式。 昨日のあの電話は、不思議な夢をみているようだったけど、夢ではなかった。 信じられないような話だけど、信じたい気持ちがある。 おじいちゃんとおばあちゃんは、未来でどんな暮らしをしていたのだろう。 いろいろな思いが…

グランド・トラベラーズ《2》

《つづき》 僕は何が何だかわからないまま、電話に出た。 「もしもし。」 すると、電話の向こうから、女の人の声が聞こえてきた。 「あ、つながった!よかったあ。」 「もしもし、どなたですか?」 と、僕はおそるおそる聞いてみた。 「驚かせてすみません。…

グランド・トラベラーズ《1》

僕の机には、二枚の写真がかざってある。 一枚は、昔うちにいた猫の写真。もう一枚は、亡くなったおじいちゃんとおばあちゃんが二人で写っている写真。 うちの家族は、僕が中学に入学するとき、東京へ引っ越してきた。 それまでは、写真のおじいちゃんとお…

王様の宿題

ある日のこと、王様が、いちばんえらい大臣をよんで、いいました。 「ちかごろ、わが国にこっそりとかくれて入りこみ、悪事をはたらく者がふえているという話をきいた。それはほんとうか。」 いちばんえらい大臣は、王様にこうこたえました。 「ほんとうで…

二つの窓とパラソル

私はいま、南の島にあそびにきている。 小屋の窓によりかかって、海をながめている。 窓からみえる海は、きらきらと光っている。 砂浜には、黄色いパラソルが一本、立てられている。 この窓の左のほうにも、もう一つ、べつの窓がある。 私は、左の窓のそば…

1と2の対話:2は1からどうやって生まれたの?

長い長い行列があります。 どこまでつづいているのか、わからないほど、長い行列です。 いったい、なんの行列でしょうか。 先頭には、1がいます。 1のうしろには、2がいます。 2のうしろには、3。 3のうしろには、4。4のうしろには、5… どうやらこ…

どのバスにのるの?:カヌーとフェリーのおはなし5

大きな耳のカヌーと、大きな目のフェリーが、おはなしをしています。 今日はふたりでお出かけのようで、バス停でバスがくるのをまっています。 カヌー「今日はお天気がよくなって、よかったね。」 フェリー「雨の日に出かけるのは、すこしたいへんだからね…

きょうだいざるのおいかけっこ

さるのきょうだいが、ひとつの木のまわりをぐるぐるまわって、おいかけっこをしています。 おいかけているのがおにいさんざる、にげているのがおとうとざるです。 おにいさんざるの、おいかけるはやさと、おとうとざるの、にげるはやさは、まったくおなじは…

光と闇の対話

光の精と、闇の精が、めずらしく話をしています。 闇の精は、光の精にいいました。 「光がいくらあっても、ひとたび光がなくなれば、そこはいつでも闇になる。」 「それはたしかに、そうだ。」 そう光の精はこたえました。 闇の精は、こうつづけました。 「…

となり町のピエロ

ビクトルが、ひとりでとなり町へ出かけたときのことです。 夕方がくるまえ、ビクトルは広場をよこぎって歩くところでした。 広場はとてもしずかで、人はほとんどいませんでした。 荷ぐるまでくだものを売る人。 ビクトルとは反対のほうから広場をよこぎる人…

こんな手紙が届いたなら

私の記憶が正しいなら、最後にお会いしたのは、カフェ・エルゴでお話したときでしょうか。 あれからずいぶん経ったように思いますが、もしそうなら、お久しぶりですね。 お元気でいらっしゃるなら、何よりのことです。 さて、あなたがこの手紙を読んでいる…

空をとびたいケヤキの木 《後》

《つづき》 ケヤキの木は何かを見つけたようです。 「どうしたんだい?」 友だちのムクドリは、はねをはばたかせながら聞きました。 すると、ケヤキの木はこたえました。 「さっきは、きみたちのたいぐんを見て、雨雲かと思ったんだ。」 「へえ、ぼくたち、…

空をとびたいケヤキの木 《中》

《つづき》 ケヤキの木にとって、朝がこんなにまちどおしいのは、はじめてのことでした。 のぼってくる太陽が見えたとき、ひゅうっとすずしい風がふきぬけて、葉っぱをさらさらとならしました。 まだ、ムクドリはやってきません。 「なかまたちをつれてきて…

空をとびたいケヤキの木 《前》

ひろいひろい草原に、おおきなケヤキの木がありました。 ケヤキの木には、ムクドリの友だちがいました。 ムクドリはいつも、ケヤキの木の枝にとまりにやってきます。 ある日、ケヤキの木はムクドリに言いました。 「ねえ、いつもふしぎに思うんだけどさ。ど…

「これ」は「これ」 《後》

《つづき》 コンピューターの画面に出ている「これ」は、「『これ』じしんをさす『これ』」だ。「これ」じしんをさす「これ」… それを指を使ってできないだろうか。 こうなったら、どうしても考えたくなってきたぞ。 さっきみたいに、指を二本使うと、「『…

「これ」は「これ」 《中》

《つづき》 「これ」という返事に対して、「どういう意味ですか?」と聞いたら、「これ」と答えられてしまった。 これまた、どういう意味だろう。 もう一度、「どういう意味ですか?」と聞いても、また「これ」という返事だろうか。 ん?待てよ。 「これ」に…

「これ」は「これ」 《前》

ある日、ぼくはいつものように、スーパーマーケットで買い物をしていた。 おかし売り場へ行くと、小さな男の子がお母さんに、 「これほしい」 と言っていた。 お母さんは、「これってどれ?」と言った。 男の子は何も言わずに、赤い箱のチョコレートを、人さ…

ふねとお月さま

わたしたちは、海のなかにすんでいます。 「ママ、どうしてふねは、いつもおもてのほうだけが見えて、うらのほうは見えないの?」 そう子どもがきくので、わたしはうえを見あげました。 1そうのふねが、日の光をさえぎりながら、わたしたちのうえのほうを…

いろんなかげ

お昼の太陽の光のかげ どしゃぶりの雨のかげ あらしの雨のかげ 夕方の太陽の光のかげ カラスがなく音のかげ がいとうの光のかげ ただいまのかげ

「くべつ」はどこからやってきた?

この世界には、「くべつ」というものがある。 ウサギはリスではない。 リスはウサギではない。 ウサギとリスのあいだには、「くべつ」がある。 水は空気ではない。 空気は水ではない。 水と空気のあいだには、「くべつ」がある。 「くべつ」はどこにだって…

鼻とみつばち

ある日、1匹のみつばちが、私の鼻の穴にごそごそと入ってきた。 みつばちは、鼻のなかの空洞まで入ってきて、そこでしばらくじっと休んでいた。 こわい鳥も入ってこられないし、大きなクモも入ってこられないし、スズメバチも入ってこられない。 きっと、…

世界の色を変えるには?:カヌーとフェリーのおはなし4

大きな耳のカヌーと、大きな目のフェリーが、おはなしをしています。 カヌー「きのうさ、古くなった木のイスを、きれいにふいて、青のペンキでぬったんだ。そしたら、ぴかぴかの青いイスになったよ。」 フェリー「へえ、それはいいね。」 カヌー「それで、…

劇「桃太郎」

猿「どうもありがとうごぜえます、桃太郎さん。むしゃむしゃむしゃむしゃ。はあ、おいしかったなあ、きびだんご。」 桃太郎「それはよかった。あれ?お猿さん、口の横にだんごの粉がついておるぞ。」 猿「冗談はやめてくださいな、桃太郎さん。」 桃太郎「冗…

ある石の部屋の話

またここだ。 ごつごつした石の床と壁、家具などはなく、いかにも頑丈そうな木のとびらが、一つだけある。 まるで中世のろうやの中だ。 とびらを開けることはできない。 鍵がかかっているのだ。 とびらをいくらたたいても、にぶい音がひびくだけである。 と…

ぼくのうごかせるしっぽ

ぼくにはしっぽがある。 長い長いしっぽだ。 でもぼくは人間だから、ほかの人間に「ぼくには長いしっぽがあるよ」と言うと、きまって、「それは本当の話じゃなくて、空想の話でしょ」と言われてしまう。 ぼくにとっては、本当におしりから長いしっぽがのび…

魔女と奇跡のテーブル 《後》

《つづき》 笑っていたおばあさんは、まじめな顔になって、僕にこう言った。 「わたしは、『このテーブルのうえでは、めったにないことが次々と起こる』と言った。これから先も、わたしの言ったとおりになるじゃろう。しかしそれはな、わたしに不思議な力が…

魔女と奇跡のテーブル 《中》

《つづき》 「え?このテーブルは『奇跡のテーブル』なんですよね?このテーブルに不思議な力があるから、カードをただてきとうにひいたのに、4枚ともエースだったんじゃないんですか?」 と、僕は思わずおばあさんに聞いた。 すると、おばあさんはこう答…

魔女と奇跡のテーブル 《前》

今日は、いつもの仲良し5人で遊園地に遊びに行った。 とても大きなジェットコースターがある遊園地だった。 ジェットコースターの前には、長い列ができていた。ならんでいるのはほとんど大人の人なのに、ぼくのほかの4人は、「のってみよう」と言いだした…

秘密のものおき

木がたくさんはえているところに、ひろい場所があります。 そこには、使われなくなった古い虹、大きなランプがついたプロペラ、ほかにもいろいろなものが置いてあります。 顔が2つあるガゼルがやってきて、 「ぼお、ぼお」 となきました。 すこしはなれたと…

ふしぎな顔:カヌーとフェリーのおはなし3

大きな耳のカヌーと、大きな目のフェリーが、おはなしをしています。 フェリー「ビーバーっていう動物、知ってる?」 カヌー「うん、知ってるよ。知ってるけど…」 フェリー「知ってるけど?」 カヌー「知ってるけど、ビーバーの顔を思い出そうとすると、ラッ…

キツネと大きな箱 A Fox's Box

ある日、森の道を歩いていると、キツネが立っていました。 「やあ」 とキツネは言いました。 キツネが立っているそばには、大きくてりっぱな箱が置いてあります。 その大きな箱は、大きなフックでとじられていて、フックには、 「明日あけること」 と書いて…

マカロニを「うちがわ」からかじるには?《後》

《つづき》 「マカロニが3つくっついている真ん中に、穴があいてるよ!」 「それはそうだけど。どうしたの?」 「真ん中にあいてる穴は、マカロニの『うちがわ』の穴じゃなくて、マカロニの『そとがわ』にできた穴だよね。」 「まあ、たしかにマカロニの『…

マカロニを「うちがわ」からかじるには?《中》

《つづき》 「マカロニを『うちがわ』から食べて、しかも、『うちがわ』も『そとがわ』もいっぺんにかみきる食べかたかあ。どうすればいいのかなあ。」 女の子は考えながら、また眠りこんでしまいました。 すると、またじぶんがイモムシになっています。 イ…

マカロニを「うちがわ」からかじるには?《前》

マカロニが大好きな女の子がいました。 穴のあいたやわらかいマカロニを、上のまえばと下のまえばで、「ぷちっ」とかみきるのが大好きなのです。 3センチくらいのマカロニなら、10回くらい少しずつかじりながら、食べることができます。 「その食べかた…

ひとつだけ願いごとが叶うとしたら?:カヌーとフェリーのおはなし2

大きな耳のカヌーと、大きな目のフェリーが、おはなしをしています。 フェリー「カヌーは、もし神様がいるとしたらどんなだと思う?」 カヌー「うーん、願いごとを聞いてくれるのが神様かな。」 フェリー「願いごとを聞いてくれて、しかも叶えてくれるの?」…

無限のかなたで流れおちる滝

「無限のかなた」と呼ばれる場所があるとします。 無限のかなた。 名前くらいは聞いたことがありますよね? でも、私たちはそこへたどり着くことができません。 なぜなら、そこへたどり着くには無限の距離を旅しなければならないからです。 私たちには、無限…

神様は先生:カヌーとフェリーのおはなし1

大きな耳のカヌーと、大きな目のフェリーが、おはなしをしています。 カヌー「神様って、もしいるとしたらどんなだと思う?」 フェリー「学校の先生みたいだったりして。」 カヌー「学校の先生?」 フェリー「そう、学校の先生がクラスの誰かをあてて『答え…