銀杏の青
青色と黄色を混ぜると、緑色ができます。
ということは、緑色から青色を抜くと、黄色ができるはずです。
秋、銀杏の葉は、緑色から黄色に変わります。
青色が、どこかへ飛んでいくのでしょうか。
どこへ飛んでいくのでしょうか。
秋空の青になるのでしょうか。
あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
2021年 元旦
夢に出てきたのは誰?:カヌーとフェリーのおはなし9
大きな耳のカヌーと、
大きな目のフェリーが、
おはなしをしています。
カヌー「夢にフェリーが出てきたよ。」
フェリー「へえ。なにしてた?」
カヌー「トランプで手品をしてくれたよ。」
フェリー「手品はしたことがないなあ。だからそれは私ではないよ。」
カヌー「え。あれはフェリーじゃなかったの?フェリーにそっくりだったよ。」
フェリー「私にそっくりだっただけで、私ではないよ。」
カヌー「うーん。でも、フェリーはいつか手品をするかもしれないよね。」
フェリー「ふむ。そうだね。そのときになったら、カヌーが夢で見たのは私だったということになるかもしれない。」
カヌー「じゃあ、僕が夢で見たのはフェリーだったのかどうかは、まだわからないってこと?」
フェリー「そうだね。カヌーが夢で見たのは私だったのかどうか、それは私がいつか手品をするかどうか次第。ふふふ。」
カヌー「そんなあ。あれが誰だったのか、気になっちゃうよ。トランプもってくるから、手品をしてくれない?」
先のばしをやめるには?:カヌーとフェリーのおはなし8
大きな耳のカヌーと、
大きな目のフェリーが、
おはなしをしています。
フェリー「今日はかなりすずしいね。」
カヌー「そうだね。すこしさむいくらいだね。」
フェリー「まきわりは、もうすんだかい?」
カヌー「そうだ。冬がくるまえに、まきわりをすませなきゃいけない。」
フェリー「まだすませていないんだね。」
カヌー「へへへ。」
カヌーは、はずかしそうに笑いました。
カヌー「やらなきゃいけないのはわかってるんだけどね。今日じゃなくてもいいやって、思ってしまうんだ。」
フェリー「そうやって、ずっと先のばしにしているのかい?」
カヌー「そうなんだ。でも、しかたないんだよ。」
フェリー「しかたない?」
カヌー「今日じゃなくてもいいや。明日にしよう。そう決心することはあるんだ。ところがね。」
フェリー「ところが?」
カヌー「一晩ねむって明日になると、明日だった日が今日になっていて、今日じゃなくてもいいやって、また思ってしまうんだ。」
フェリー「なるほど。そんなことをくりかえしていたら、ずっと先のばしになるわけだよ。」
カヌー「どうすればいいのかな。」
カヌーもフェリーも、
こまった顔になりました。
カヌー「思うんだけどさ、今日なんていう日は、なくなってしまえばいいんだよ。」
フェリー「今日が?なくなってしまう?」
カヌー「うん。今日がなくなってしまえばさ、今日じゃなくてもいいやって思うことだって、なくなるんだから。」
フェリー「ううーん、どういうことかな。」
カヌー「とにかく、どんな日でも、はれの日でもあめの日でも、出かける日でも出かけない日でも、それが今日になるから、やりたくなくなるんだよ、まきわりをさ。」
フェリー「だからって、今日という日をなくせばいいっていうのかい?」
カヌー「そう。今日という日さえなければ、まきわりなんて、とっくにすませてるよ。」
カヌーはうれしそうな顔で笑っています。
フェリーはますますこまった顔になりました。
ポストのたくさんある街
この街に住む人々は、
手紙を書くのが大好きです。
毎日、たくさんの人が手紙を出すので、
街にはたくさんのポストがあります。
あるとき、
こんな意見を言った人がいました。
「ポストの背をもっと高くしよう。
そうすれば、どこにいても、
すぐにポストを見つけられる。」
そう、この街では、
公園へ行っても、カフェへ行っても、
手紙を書いている人が
あちらこちらにいます。
そんな人たちが、
さあ手紙を書き終えたというとき、
ポストの背が高ければ、
すぐに見つけて、
手紙を出せるではありませんか。
街の人々は、この意見に賛成しました。
そして、街のポストの背をぜんぶ、うんと高くしました。
ところが、人々は気づきました。
「ポストがすぐに見つかるのはよいけれども、
手紙の入口に、手がとどかなくなってしまった。」
それでも、私にとっては便利になったのです。
家のそとへ出なくても、
窓から手紙を出せるようになりました。
アパートの4階に住んでいるからです。
おや、今日もまた来ました。
窓から手紙を出しておいてほしいという人です。
それでは、またお便りしますね。